現在実施中の研究

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敗血症性DICに対するDIC治療薬の有効性

 敗血症に合併する播種性血管内凝固症候群(DIC)は、致死率の高い危険な病態です。日本では以前より多くの抗凝固薬が治療に用いられてきましたが、いずれも世界的な評価は定まっていません。我々は、2008年に上市された遺伝子組み換えヒトトロンボモジュリン製剤(以下、rhTM)の臨床効果を積極的に解析してきました。rhTMは、強い抗炎症作用と抗凝固作用を併せ持つ新しいDIC治療薬です。
我々は、敗血症性DIC症例におけるrhTMの有効性をhistorical control studyで検証した結果、rhTM投与が28日生存率を有意に改善することを証明しました(P=0.027 by Cox regression analysis)。生存率改善に寄与するメカニズムとして、SOFAスコアが早期に改善することから、rhTM投与による臓器障害の軽減効果が考えられました(Crit Care, 2011, 15:R123)。さらに症例を集積して解析を行った結果、SOFAスコアの改善は特に呼吸スコア・循環スコアにおいて顕著に見られました。Lung Injury Scoreも有意に改善することから、rhTM投与によって敗血症に伴う呼吸障害の改善が期待できると考えています(J Trauma, in press)。当センターでは敗血症性DICにおけるrhTMの作用メカニズムを解明すべく、現在前向き臨床研究を検討中です。

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