実績一覧
- 2025.12.04
大阪大学医学部5年生(クリクラ)の野村悠介先生と、当科の戸上由貴 医員、松本寿健 特任助教らは、大阪大学免疫学フロンティア研究センターの奥崎大介 准教授および小田紗矢香先生との共同研究により、日本人重症熱中症患者を対象とした全血トランスクリプトーム解析を実施しました。その結果、小胞体ストレス関連経路である unfolded protein response(UPR) が顕著に活性化し、細胞傷害機構への関与が示唆されました。(Front Cell Dev Biol. 2025 Nov 27;13:1640477. doi: 10.3389/fcell.2025.1640477.)
- 2025.12.04
当科の松本寿健 特任助教らは、大阪大学免疫学フロンティア研究センターの大阪大学医学部4年生・岸陽介先生、奥崎大介 准教授らと共同で、COVID-19およびmRNAワクチンに対するNK細胞応答を解析しました。単一細胞RNAシーケンスにより、重症COVID-19回復期およびワクチン接種後にNK細胞サブセット構成が大きく変動することを明らかにしました。
特に適応型CD56^dim NK細胞の増加と代謝活性化が認められ、免疫応答における重要な役割が示されました。(Sci Rep. 2025 Oct 28;15(1):37577. doi: 10.1038/s41598-025-11575-w.)- 2025.11.07
当講座の伊藤弘 特任助教、吉村旬平医師(現 大阪急性期・総合医療センター)らは、大阪大学免疫学研究フロンティアセンターヒト免疫学(単一細胞ゲノミクス)の奥崎大介 准教授、石川昌和(現 香川大学バイオインフォマティクス解析センター)らとの共同研究で、COVID-19によりARDSに至った患者の好中球を用いてシングルセル解析した結果、28日以内の人工呼吸器離脱した患者が分類されました。好中球の遺伝子発現の差が臨床的意義を持つ可能性があることを報告しました。(Frontiers in Immunology, Volume 16 – 2025)
- 2025.11.05
当講座の米田和弘医師(博士課程)・蛯原健医師(特任助教)らの研究チームは、大阪大学医学系研究科内分泌・代謝内科学との共同研究で血管内皮より産生される可溶性T-cadherin(100kDaアイソフォーム)が熱傷受傷後24時間以内に必要な輸液量及び血管内皮障害マーカーと負の相関があることを示しました。可溶性T-cadherinは熱傷急性期の血管透過性や輸液バランスを反映する新規バイオマーカーとなりうることが示唆されます。(Shock. 2025)
- 2025.10.09
当講座の横野良典医師(博士課程)、蛯原健医師(特任助教)らは、大阪大学医学系研究科感染症内科学との共同研究において、COVID-19感染後に発症した成人Hemorrhagic shock and encephalopathy syndrome(HSES)症例では、急速な症状進行に加えIL-6およびGDF-15の著明な上昇を認めることを示しました。(IDCases 2025;Volume 42:e02390)
- 2025.10.03
当科と蛯原特任助教、松本特任助教と大阪大学CiDER(感染症総合教育研究拠点)のJames教授との共同研究で、COVID-19や敗血症といった重症感染症では、未成熟T濾胞制御細胞preTfrが著減し、免疫恒常性の破綻と自己抗体産生に寄与する可能性が示唆されました。(Sci. Adv.11,eadv6939. 2025)
- 2025.09.02
当センターの河内孝仁救急救命士、酒井智彦助教らの救急タグ(あらかじめ自身の病歴等を登録しておくシステム)研究チームは、開発したNFC版救急タグの効果をシミュレーションで検証し、医療機関へ受入要請を行うまでの時間が有意に短くなる可能性について原著論文として報告しました。(日本臨床救急医学会雑誌2025 年 28 巻 4 号 p. 611-619)
- 2025.08.01
森大樹医師(救急科専攻医)は、腹部に片側のlivedoを呈した急性大動脈解離の症例を報告しました。大動脈解離に伴う下腹壁動脈の血流途絶および循環不全により生じたと考えられ、この所見は大動脈解離におけるRed Flagの一つとして臨床的意義を有することを示しました。( Balkan Med J. 2025 Jul 25. Epub ahead of print.)
- 2025.07.01
当科の梅村穣 特任助教らは、国際血栓止血学会の学術標準化委員会DIC部会との共同研究で、DICに関する119稿の観察研究を網羅的に解析するシステマティックレビューを行い、様々な基礎疾患におけるDICの診断、治療、転帰に関する国際的な疫学データを報告しました。
(J Thromb Haemost. 2025 May 16:S1538-7836(25)00323-X.)- 2025.06.17
当講座の伊藤弘特任助教らは、集中治療医学会の神経集中治療診療ガイドライン作成委員会での活動で、くも膜下出血に対するトラネキサム酸の投与についてシステマティックレビューとメタアナリシスを行いました。くも膜下出血に対するトラネキサム酸の投与はルーチンでの使用は支持されませんが、早期の治療が困難である症例では、投与を検討する価値があることを報告しました。(Frontiers in Neurology, Volume 16 – 2025)