基礎・臨床研究
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重症感染症におけるNETs(neutrophil extracellular traps)の役割

 重篤な感染症は救命センターに搬送される患者の予後を決定する主要な因子です。NETs(Neutrophil Extracellular Traps)とは、感染により活性化された好中球が自らのDNAやgranule proteinを含む網目状の構造物を能動的に放出する現象であり、Brinkmannらにより初めて報告されました(Neutrophil extracellular traps kill bacteria.Science.2004 303:1532-1535.)。NETsの放出により細菌を捕獲しながら能動的に細胞死を起こす現象は、apoptosisやnecrosisとは異なる細胞死の機序としてNETosisと呼ばれ、またこの反応はtissue damageに寄与するとも言われています。しかし,NETsの臨床病態との関連は、全く明らかにされていません。我々は、NETsと細菌との相互作用が、感染症の重症化および臓器不全の進行に深く関与する、と仮説をたて、前向き研究を進めています。感染症を起こした救急患者を対象として、経時的にNETsを検出・評価し、感染におけるNETsの形態評価、質的評価、および臨床病態との関連を評価しています。今後、重症感染症の病態解明および治療法の開発へと発展させるべく研究を進めます。

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