当院で実施中の臨床研究について
about a clinical study

研究内容の紹介
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救急医療施設におけるバルビツール酸系睡眠薬過量服用による急性中毒の実態調査

研究課題名:「救急医療施設におけるバルビツール酸系睡眠薬過量服用による急性中毒の実態調査」
研究代表施設責任者;埼玉医科大学病院救急科(ER・中毒センター) 教授 診療副部長 上條吉人 当院研究責任者:嶋津岳士 大阪大学医学部附属病院 高度救命救急センター 教授

①研究の目的:バルビツール酸系睡眠薬は古くから使われてきたが、呼吸抑制などの副作用や依存・乱用性が強く、より安全なベンゾジアゼピン系睡眠薬などの台頭によって処方数は年々減少している。しかしながら、いまだに救急医療施設には過量服用による急性中毒患者が搬送され、時に呼吸停止、循環不全、誤嚥性肺炎や挫滅症候群/コンパートメント症候群などの重篤な後遺症を残したり、ときに死亡したりする症例が散見される。日本精神神経学会はこのうちフェノバルビタール、クロルプロマジン、プロメタジンの合剤であるベゲタミン®錠の発売中止を求める要望書を塩野義製薬株式会社に提出し、2016年12月31日をもって供給停止となり、以降は流通在庫頻限りで販売中止となった。しかしながら、フェノバルビタールやペントバルビタールはいままで同様に処方できる状況が続いている。そこで、本研究は、日本中毒学会 事例調査・研究委員会が主導して全国の救急医療施設に搬送されたバルビツール酸系薬物による急性中毒患者の背景、臨床症状、治療経過、予後などを集積・解析することを目的とする。本研究からバルビツール酸系睡眠薬の危険性が明らかになれば、日本中毒学会から厚生労働省に発売中止を要望する根拠となると考えている。

②研究の方法と期間:2007年4月1日から2017年3月31日までの10年間にベゲタミンAまたはB®錠、またはペントバルビタール・カルシウム(ラボナ®錠)を単剤で過量服用して救急搬送された患者を主な対象とする。対照群は、トリアゾラム(ハルシオン®、その他のジェネリック薬品を含む)錠、またはフルニトラゼパム(ロヒプノール®またはサイレース®、その他のジェネリック薬品を含む)錠、ゾルピデム(マイスリー®、その他のジェネリック薬品を含む)錠、エチゾラム(デパス®、エチカーム®などジェネリック薬品を含む)錠のいずれかを単剤で過量服用して救急搬送された患者とする。上記に該当する全ての年齢の患者を対象とする。これらの患者を対象として、研究参加施設は、睡眠薬中毒患者調査用紙に記載された以下の項目について、対象患者のデータを収集する。年齢、性別、使用された睡眠薬の商品名および服用量、初診時の意識レベルおよびバイタルサイン、初診時の臨床症状、合併症、集中治療室での治療の有無、人工呼吸器または急性血液浄化法などの施行の有無、治療薬使用の有無、予後(記入時間:約20分)。これらのデータは参加施設ごとに調査用紙を取りまとめ、期日までに埼玉医科大学病院ER・中毒センターに郵送にて送付し、データベース化する。その後結果の解析を行なう。

③試料・情報を利用する者の範囲:各参加施設の研究責任者および研究代表施設である埼玉医科大学病院救急科の研究担当者

④試料・情報の管理について責任を有する者の氏名または名称 :大阪大学医学部附属病院 高度救命救急センター 講師 大西光雄

⑤研究に診療情報などを利用して欲しくない場合について:本研究は、研究対象者又はその代理人の求めに応じて、研究対象者が識別される試料・情報の利用又は他の研究機関への提供を停止することがいつでも可能。

⑥問い合わせ先:大阪大学医学部附属病院 高度救命救急センター
特任助教 竹川良介
講師 大西光雄
連絡先:06-6879-5707

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